美術の旅人

よねひと

色とかたちの協奏 野中光正&村山耕二展 2024/11/22Fri.~30Sat. 11:00~18:00 杜の未来舎ぎゃらりい

よねひと


240930  混合技法・門出和紙

それは虹のように。

思いながら生きている。この「思う」を外しては私は生きられない。なぜなら思うことは「私」だからだ。しかしこの思うばかりだと企みだらけになって鬱陶しいことこの上ない。できれば、向こうからやってくるものを相手にしたい。そんなとき野中氏の絵を眺める。

野中氏の絵は思うことの延長で成り立つ絵ではない。だから、もの思しげな形態は避けられている。そして、絵には名前がない。そっけなく制作した日付が書かれているだけだ。しかし、ものが現れるためには最低限の土俵となるかたちが必要とされる。それが盤面を分ける四角いセクション。

野中氏にとって向こうからやってくるものは色である。色は感覚的世界のおそらく起源にあるもので、唯一この世界に感覚で捉えられる純粋なものとして現れる。それがどこに通じているのかは分からない。しかし、七色の虹のように向こう側に確かにある何かの片鱗なのだろう。

それは幻ではない。むしろ幻は様々な物質にまつわる思いに支配されたこちら側で、あちら側にこそきっと、プラトンが呼んだようなイデア、究極の明澄なリアルがあるのだろう。

この色の降臨に動きを与え、音楽を奏でさせるのが野中氏が指揮棒のように自在なストロークで振るう刷毛。熟練の手さばきから、今年はどんな音楽が聞こえてくるのか楽しみにしている。

◉mixed media NONAKA MITSUMASA

1949年東京都鳥越生まれ、現在元浅草在住。78年木版画展(現代版画センター)、84~95年ゆーじん画廊(東京)、89-91年新潟高柳町移住、紙漉きを学ぶ、2001年~新潟絵屋、2009年〜杜の未来舎ぎゃらりい(仙台)、2010年〜ギャラリーアビアント、2011年~ギャラリー枝香庵(以上東京都)などで毎年個展開催。制作を午前中の日課にして、15年以上前から日々淡々と門出の和紙を支持体にした独特の抽象作品を作り続けている。

 ●野中光正在廊日 11/29(土)~30(日)

 
マグマに触れる夢。
 
光によって千変万化するガラスは、人を夢見ることへと誘う。作家にとって、この夢はガラスの素材を採集するその時から始まる。山中や河辺で拾い上げた石。それは地底で成し遂げられる壮大な出来事の夢の種子へと変わる。
 
高熱のガラス球に放り込まれた岩石の崩壊過程を見る’Geological Glass’から始まった夢の旅は、今、地中に波立つマグマの世界をかいま見させる’volcano glass’として新たな係留地を得た。金属とガラスは相性が悪く、剥離するとされていたが、彼の手の内で見事に融合を遂げた。今回も彼の果てしない夢の旅の同伴者となりたい。
 
誰も試みない冒険的営為で心ワクワクさせるアーティストである一方、村山氏は誰もが使いたくなる器としての「用の美」を満たす熟練の工芸家でもある。非凡なフォルムの美しさで人々を魅了する、お馴染みのサハラから月山まで、土地固有の砂のエレメントを抽出した多彩なガラス作品群の中から、少数ながら最近の選りすぐった新作も展示する。
 
 
◉glass works MURAYAMA KOUJI

 1967年山形市生まれ。1996年仙台市秋保に海馬ガラス工房設立。2007年モロッコ王国・王室への作品献上。土地土地の砂の特質を生かしたユニークな造形作法で知られる。